朽ちゆく友好船(復元船サンタ・マリア)




神戸港の復元船、サンタ・マリア2世号が激しく痛んでいます。

この船は、はコロンブスの1492年の航海の500年記念として、1990年スペインで復元され、実験航海およびスペインとの友好の証として、1991年7月13日バルセロナを出港し、約35,000kmの航海の経て1992年4月28日神戸に入港し、1996年より神戸市の神戸海洋博物館(Kobe Maritime Museum 兵庫県神戸市中央区波止場町2-2(メリケンパーク内))前に展示されています。
また神戸海洋博物館内には、船の説明とその航海の経緯が、売店横で展示されています。

日本において、大航海時代の帆船を見ることのできる場所は少なく、西洋帆船については、ここと、長崎ハウステンボスのデ・リーフデ号、石巻のサン・ファン・バウティスタ号位しか心当たりがありません。
このサンタ・マリア2世号について、2年前の2000年に撮った写真を中心に復元船サンタ・マリア(神戸市)の頁で紹介したのですが、当時から気になっていた船体が、2002年5月に久しぶりに見に行ったところ、みるかげもなく痛んでいました。
これに大きなショックを受け、この現状を、皆さんに知っていただき、関係者各位に注意を喚起していただきたいと思い、この頁を設けました。



船体側面。
遠くから船体を一見しても船体部の傷み具合はわかります。
本来、風雨に強い筈の帆船ですが、定期的な再塗装を行わなかったため、木造部分が腐食しています。




船尾楼左舷側面。
舷側の板材が腐食し、船体の内部構造が見えています。こうなると、塗装だけではどうにもならず、腐食した部材を交換する必要があります。さらにこのまま放置すると、肋材の部分まで腐食が進むでしょう。


船体水線下。
船食虫などの海中生物の被害を避けるために、水線下を銅板で被覆してありますが、これがぼろぼろに腐っています。
この部分も、銅板を張り直す以外には補修の仕様がなさそうです。
定期的に透明のラッカーを塗っておくだけで防げた事態ではないでしょうか。


船首。
2年前
と比べて船首部も大きく傷み始めています。
港町神戸のイメージを表すこの帆船も、もはやその外見は老朽船にしか見えません。


右舷舷側。
船体中央部の舷側の傷み。
木材が腐食しています。左舷フープ側面の様に内部が露出するのは時間の問題でしょう。


右舷船尾舷側。
左舷同部分ほどでないにしても、かなりの傷みが見られます。


右舷船首舷側。
船体もそうですが、錨の柄の部分の錆が酷くなっています。放置すると危険でしょう。


甲板。
この部分の腐食も目立っています。これではおそらく、船体内に水漏れし、甲板下の腐食も酷いことになっているのではないでしょうか。


まとめ。
以上見ていただいたように、最終的に廃船、破棄を考えていないのであれば、早急のメンテナンスが必要な状態です。
さらに言うならば、とりあえずペンキを吹き付けると言った場当たりの修理でなく(何もしないよりはましですが)、傷んだ部分のチェックと、造船所と相談して、腐食した部分の新造、交換、定期的な補修計画の立案、実施などが望ましいでしょう。

木造船がどのように傷んでいくかというプロセスを観察するにはよい教材と言えるでしょうが…。

地震後の減収から、神戸港の財政がきついのもわかりますし、市や県が空港計画などで財政上大変なことはわかるのですが、このまま放置すると余計に費用がかさむことは目に見えています。
この船が、友好の印として、またミナト神戸の顔として、長く人々に愛されることを心から願っています。



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